日本を代表するクラシックギター名工河野賢氏1985年の作品。1948年東京高等工芸学校木材工芸科（現：千葉大建築科）卒業と同時にギター製作を開始。1960年スペインに渡りギター製作を学び、楽器製作技術を吸収して戻って来てから数年が経ち、1967年国際ギターコンクールで金メダルを受賞されて一気に世界的なクラシックギター製作家として有名になりました。以来31年間日本のクラシックギター製作をリードしてきましたが、1998年お亡くなりになられました。72歳でした。ギター製作とギター音楽の振興にその生涯をささげた一生でした。 河野トーンと呼ばれるラミレス風の音ヌケの良い甘い高音と、豊かな中低音部が支持を得て、70年代から80年代にかけて数多くの河野ギターが販売され人気を博しました。特に1980年代に入ると、河野自身の追い求めるに変化が生じました。 駒を中心に、ブレーシングで四角く2重に囲い込むブレーシングを採用することで全体的に倍音が豊かになり、高音の音量が増し、低音はより奥行きと立体感を感じる音になりました。 1998年に他界するまでこの力木を採用し続けました。 この楽器は1985年最盛期59歳の時に製造され、しかもプロ仕様としてジャーマンスプルースの表面板と、ボディには木目が鮮やかで年輪が詰まった最上級ハカランダの単板を使用した最上級クラスのモデルになります。これ程のハカランダはヴィンテージの楽器で目にするくらいで、現在では価格も高騰し素材として入手することも困難になっています。ネックは温度・湿度が変化しても狂いにくいマホガニーで二本のエボニーで補強されています。指板はエボニーです。ブリッジとヘッドの飾り板はハカランダです。糸巻きは、ゴトー社製が装着されております。 製造から40年、さすが名工河野賢の力作だけに　ボディバランスに狂いは無く、長年愛用されていて弾き込みも十分で驚く程鳴ります。河野さんのサインが入っています。弦高は12フレット1弦側で約2.8mm、6弦側で約3.7mm、サドル調整可能幅は約2.5mmです。 トップ板とネック横に多少の打ち傷弾き傷と、ボディバインディングに擦り傷、裏板に製作過程で残った製作者の腕跡が微かに残っていますが、ネック反りも無くフレット残りも十分で素晴らしい楽器です。アランフェスのグラスファイバー製ハードケースが付いています。